桜や菜の花が春の象徴であり、歌にもよまれているが、最近赤紫色のムラサキハナナがいろんなところで目立っている。この名前、図鑑で調べてみると和名がいっぱいある。オオアラセイトウ:江戸時代に中国から入ってきたときのストック=アラセイトウの大きい花。ショカッサイ=諸葛菜:三国志の諸葛孔明が飢饉のときに植えさせた大根に似た花。ムラサキダイコン:名前の通り。この花は、パイオニア植物らしく空き地や堤防で良く咲いている。同じアブラナ科のタネツケバナを食べる春のチョウ=ツマキチョウがこの花も食べるようになり、ツマキチョウは東京でも増えているという。温暖化だけが蝶の新たな進出ではないようだ。食草となる植物の分布の拡大、移動も関係している。
着物の褄から翅の角を褄と呼び、ここが黄色いからツマキチョウ。春を象徴する里山の蝶だ。タネツケバナの花や実を食べるため同じサナギで越冬するギフチョウなどの早春の蝶よりも発生は少し遅く春爛漫になってから。モンシロチョウやスジグロシロチョウと一緒に飛んでいるので、出くわす機会も多いが、一瞬で見分ける。
このムラサキハナナの小道では、次から次にヒラヒラ飛んできて写真を撮っていると時間を忘れる。夕方光線が傾いてくるとツマキチョウは木の上を飛ぶことが多くなる。追っていくと梢の枝先に止まって動かない。どうやらここがねぐらなのか。